新潟日報 2013/4/21号より
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伝統構法の家屋建築(阿賀野)
頑丈さ生む複雑な細工
伝統構法による家屋の建築が阿賀野市の農村部で進められている。建築面積は約120平方bの総2階造り。古材のように見える塗装が施されているが、使用しているのはほぼ新しい材木。既に内装工事に入っており、7月に完成予定だ。
家屋の外観でまず目を引くのは、むき出しの太い柱や曲がった梁。互いの切り込みでがっちりと合わされ、組み上げられているり木材の太さもあって、実に頑丈そうに見える。
横に渡した木材の両端にあるのは「ほぞ」と呼ばれる突起。それが、柱に開けられた「ほぞ穴」を貫きこちらも力強く固定ぜれている。
家屋の中に入ると、複雑な木組みも見掛ける。柱と柱の間に渡した木材の中間部分には、木工細工のように複雑な凹凸が施されている。それがびったりと合わさり、木材同士が強く接合されている。
新築を請け負うのは、伝統構法が専門の斑鳩建築(新発田市)。棟梁の小川正樹さん(55)が語る。
「木組みをする木材の凹凸の切り込みは事前に作業場で済ませます。現場では組み立てるだけです」
寸法違いは許されない。そのために欠かせないのが、使用する木材への綿密な「墨付け」だ。いわば「指示書」に相当し、加工部分の寸法や角度などを細かに記入。これに従い、切り込みを入れる。
しかも、部材の組み立てには順番がある。例えば枠を組み上げた後、枠内に新たな木材を、切断せずに差し込む
ことはできない。組み立て順が複雑なケースもある。しかし.「順番はみんな覚えておく」と、小川さんは事もなげに話す。随所に光る大工の技。それらの結晶が伝統構法の家なのだ。
(写真と文・清水尚之、本間美季子、図解・小武久夫=写真画像部)
私のお客様で岩手県の住宅建設に手伝いに行っておられる大工さんが当社にお立ち寄りの折、
お仕事についてお聞きしたら、ハウスメーカーの住宅建築をなさっていたそうです。
それで、在来工法と比較してどう思われますかとお尋ねしましたら、次のようなご返事でした。
ハウスメーカーの仕事は木と木を繋ぐ時に金具を使い、それを固定するのにボールトかビスを
使います。それで素人でも組立が出来るのですが、年月が経過すると木は収縮するため、
この固定部がどのようになるかが問題ですね、とのことでした。
一般住宅の建築では、上の記事ほどではないが、ほぞ穴に組ませて作りますので、日本で発達
した伝統の在来工法の良さを認識すべきではないか感じていました。 (H25/5/7、外山)