平成24年5月26、27日開催、八王子ミニ削ろう会

三条の名工の墨壷の数々を陳列しました。

大工道具の高級品を販売するページを持っていると、いろいろな名品のお問合わせを頂くようになりました。
ご希望のありそうな名品を探して仕入れるように努めていましたら、珍しい品を収集するのがが楽しくなって来まして、当社で、あるいは私個人でよい品を集めるようになって仕舞いました。

4月のことでした。削ろう会の中心メンバーでいらっしゃる福井の直井さんからお電話を頂きました。
お宅では墨壷を収集しておられるそうですが、次ぎの八王子ミニ削ろう会に、それらを展示して頂けませんか、ということでした。

永年、大工道具で商いをさせて頂いて来た者として、業界に少しでも貢献することが出来ればありがたいと思いまして、お受けして、26日は早起きして、参加される方の車に乗せて頂いて展示して参りました。

次ぎは当日陳列した墨壷です。その1


次ぎは当日陳列した墨壷です。その2


次ぎは私が墨壺の説明をしているところです。


次ぎは、当日配布した「三条墨壷職人さんの系譜」です。

見学の方には墨壷について概略次ぎのように説明させて頂きました。

○昔の大工仕事では墨壺が三種の神器の一つだったこと。
 東大寺の忘れ物の墨壺は実際は建立に関わった大工さんが自分の想いを込めて置いて来たものであること。

○墨壷で実際は中国から朝鮮を経て伝来したものですが、昔は聖徳太子が考えたと聞いてました。

○材料は水に強いということで昔から欅材が使われたこと。全体が股木の杢目部で造れることが最高級であること。

○杢目の詰んだところで造ると、日時とともに自然と色が着いて素晴らしい色になること。
 目が詰んだ材料は高価である。硬くて造るのに手間が掛かる。貴重な材料を使うので職人さんは最高の仕事を
 していること。

○今回の展示品は全て三条製であること。

○昔は墨壷が三条の大切な産品で、沢山々々売れていたこと。
 当時は出来の良い墨壷に注文が殺到するため、金物問屋は催促に度々職人さんを訪ね、私も造っている隣に座って、
 造る所を身ながら話しをしながら催促したので造り方などはよく解っていること。

○その後、台湾など外国で造られた墨壷が輸入されるようになったが、それらと国産品との一番大きな違う所について
1、全体のバランスが違う。
2、外国製は車がお粗末である。
 国産墨壺の車は骨が多く、全体の価格の約1割を車に掛けていたと聞いています。

○墨壷は、昔は大工さんの人気商品でしたが、残念ながら今は売れなくて職人さんが困っているが・・・、
 現存の職人さんも高齢なので、やがて造る人がいなくなること。

また、次ぎのようなご提案と説明もさせて頂きました。
大工さんが成功されて建築会社を造られ、立派な自宅を造られたら、床の間には牛や馬の置物を置かないで、せめて
墨壷を置いて下さいよ。
実際、ネットで墨壷を3ケご発注頂いたことがあり、お使いになるなら池にペンキを塗りますが、どうしましょうか、
とお尋ねしたら「本社と2つの支店に神棚があるので、そこに飾りますからペンキは不要です。」とご返事を頂いた
ことがありました。

最近のことですが、台湾の方がメールを寄越されて、小山さんの墨壷を2点所蔵しているし、日本の墨壷のページを
持っています、と書いてこられました。
墨壷の名品はこれから国際的にも評価されるようになるかも知れません。

などの説明をすると、それでは、この品は幾らですかと聞かれますので、ここでは販売致しませんが、販売価格は大体幾ら位になりますとお話すると、皆さんが「もっと高いと思ったら、その割りに安いんですね。」とおっしゃっていました。
要するに商品を詳しく説明して理解して頂けたら、その価値を解って頂けると感じた次第です。

準備に何日か掛け、更に片道5時間も掛けて参加して、2日間ほとんど立ちっぱなしでしたが、墨壺について沢山の方に説明をさせて頂けたと思って満足しています。
これからも機会があったら、出来るだけ参加させて頂き、日本の伝統の大工道具のご紹介と解説に努めたいと考えています。

私は大工道具をご紹介するホームページを随分前から開設していますので、御来客中で、既にお付き合いのあるお客様がなんと10名近くもおられました。
全てメールないし、お電話でのお付き合いでしたので、初めてお会いする方がほとんどでしたが、直接にお会い出来てとても感激していました。
お菓子と飲み物を差し入れて下さったお客様もおられまして恐縮しております。ありがとうごさいました。

私は毎日、必ず健康に良いと思われる運動をしていますので健康には自信があるんですが、1日半、ほとんど立ちっぱなしでしたので流石に疲れました。

5月初の三条削ろう会に古い初弘鉋刃を展示させて頂いた折、私のホームページをご紹介するチラシを50枚用意して「ご自由にお持ち下さい。」と書いたメモを置いたところ少し残りましたので、今回は次ぎの3種類を100枚づつ用意しました。

1、墨壺の解説と私のホームページのご紹介
2、当日陳列した墨壷の目録
3、三条墨壺職人さんの系譜表

処が来場者が多く、思いの他、お持ち帰りの方が多いようなので、もし、無くなったらホテルでコピーし翌日に備えようと思っていた所、初日夕方、気が付いたらメインの「墨壺の解説と私のホームページのご紹介」が無くなっており、出品目録が少しだけ、系譜表は1枚になっていました。

メインの資料が無くなり、系譜表も1枚になったので、二日目は「ご希望のお方は郵送しますのでお名前とご住所をお書き下さい。」とメモを置いたたら約10名のお方が名前を書いて下さいました。

次ぎは夜の懇親会の写真です。


懇親会でのことです。
冒頭、開催を管理された会の理事長の鈴木さんが挨拶されましたが、その中で「姫路の出身で姫路城の木造加工に関係したお陰で、昔からの大工仕事が大変貴重だと言うことが解りました。」とおっしゃいましたので、後ほどご挨拶にお出での時、昔からネットのお仲でご懇意な姫路の方がいましたのでお話したら「よく存じ上げています。私の高校時代の2年先輩です。」とおっしゃっていました。

また、同じ会の女性理事の西野さんがご挨拶にお出での折、石川県のご出身とおっしゃるのでお尋ねしたら羽咋市にお住まいだったとのこと、私が以前、30年も石川県に出張して、毎月羽咋市にも窺っていたことなどをお話させて頂きました。
何かのご縁だと感じておりました。


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