外栄金物株式会社主催

13年度「ものアイランド鍛冶道場」報告書

  私が参加している「ものアイランド」のメーリングリストに、三条市の鍛冶道  場の情報を流しましたら、参加したいとのお話がありましたので、ご懇意にして頂  いている岩崎重義さんにお願いして昨年から当社の主催で行っています。 次に、今年の状況をお知らせします。 ご出席者 小原さん 皆様ご存知の方が多いのですが、かっての「ものづくり共和国」の花形メンバーで、 その明るい性格と、良識的なお考えは、みんなの人望を集めていました。お父さん の金型屋を継いでいる孝行娘です。20日には、仕事を一段落してからということで、 7時に着けないで、7時35分に燕三条に着いてタクシーで宴会場に直接お出でになり ました。 市川さん 小原さんの一つ違いのお姉さんのお友達で、趣味で石に像を彫刻しておられるとて もユニークな娘さんです。 ご自分の作品の写真を見せて頂きましたが、イタリアにも留学されたとのこで、 大理石で下宿していたところの娘さんの頭部を、アマとは思えないほど、とても 上手に彫っておられました。前から、刃物を作ることに興味があったので、小原さん から電話を貰ったら、すぐ、参加を決めたと言っておられました。 ご夫妻で参加された原田さん 特許などの解説では、さすが専門家と言う感じなのですが、もしかして理屈っぽい 偏屈な方ではないかと心配していましたが、とんでもないことで、静かで、おっと りとして、暖かく、何から何まで紳士を感じさせる方でした。 さらに、奥さんも可愛らしい方で(失礼・・・)、何時もお二人で肩寄せあっている 感じのとてもよいご夫妻でした。 奥さんは「美味しいお酒を飲めるというので参加したのですが、物を作ることは、 何も知らなかったんです。でも、参加して造ることがとても楽しいことが解りまし た。」と言っておられました。お酒は、結構お飲みになり・・・ちょっとした男顔 負けです…。 原田さんは私の同年の生まれで、奥さんは家内と同学年のほとんど同じ年代の方で した。 さて、衣川さんですが・・・、 兎に角、三日間お酒びたりで・・・、21日の二次会では踊りっぱなし・・・。先に ご報告したタンゴをバックにどじょう掬いを踊った時なんかは、小原さんから顔に 赤いインクで書き込みをしてもらって、凄い顔をしておられました。(滑稽なと言う 意味で・・・) でも、仕事についてはちゃんとやられましたが、新潟発の飛行機が7時なのに、5時 になっても少しも動こうとされません。 岩崎さんの奥さんが心配して調べたら、直ぐ、車で急行しないと帰れないというこ とで、急遽、長井がお送りして辛うじて間に合ったのでした。 酒飲み道場 まず、最初の日は、飲み屋さんでは料理は@3000円で十分でしょうというので、そ れにして、越の寒梅を燗したものを13本(@400円)、冷酒をを14本(@500円)、ビール をを5本(@600円)飲みました。兎に角、ここは別格に寒梅が安いのです。 家内はほとんど飲まないし、長井がビールを二本しか飲まなかったので、他の男女 各3人づつで、ほとんどを飲んだことになります。みなさんは、寒梅の飲みやすさに 満足されてどんどんの飲めたとおっしゃっていました。 翌日は午前中に刀を観ていたら、岩崎さんからお昼を用意しておくから食べないで お出でなさいとの電話があり、12時を目掛けてお伺いした所、ビールに、お酒に、 ウイスキーに・・・、「鍛冶をする人は飲んでするものだ。」との先生のご説に従 って、皆さん(うれしそうに・・)結構お飲みになりました。 そして、その晩のことです。 インドネシアから三条に研修に来ている若者が10人いて、岩崎さんが彼らと飲み会 を計画しておられたものですから、我々の宴会は急遽5時半からにして、料理が7点 付いて、お酒、ビール、チュウハイなど飲みで放題4000円のお店に岩崎さんから設 定して頂きました。 そこに岩崎さんが、寒梅の「本状醸造、特選」というのを一本お持ちになりました のが、これが、昨夜の寒梅と味が違うと言って、またまた、大人気でした。 その後、7時からの二次会があるために4合くらい残して隣の二次会場に持参。そこ では、残りのほとんどを衣川さんが飲まれたのでないかと想像しています。 翌日のお昼にはまたまた、前日と同じにみんなでお酒を飲んでいた時の話です。 私が「昨晩の寒梅は半分以上を衣川さんが飲んだようですね。」と言いましたら、 御大は平然と・・・、それでも、下を向きながら「いや、私は半分以上、もっと飲 んだと思っています。」ですって・・。 結局、わずか二晩二日の間に、お酒を飲んだ時間は、20日の晩に4時間、21日はお昼 に1時間、夜に4時間、21日はお昼に1時間で、合計10時間も飲んでいたことになりま す。 そして、女性3人は、ちゃーんとお付き合いをされたのです。 岩崎ご夫妻 仙人岩崎、その1 裏の庭続きに泉があり、水菖蒲が咲き、その先に山があるのですが、奥さんが、そ の山を買われた時のことを話しておられました。 「この山を欲しかったのですが、何方の持ち物かわからなかったんですよ。ある時 に、がっしりした老人がこの辺を歩いておられて、私の持ち物だと言うんです。早 速、分けて頂けないかとお願いしたら、自分はガンでこれから入院しないといけな いので、その資金もいるからお分けしてもいいと言われまてね・・。」 「それで、イーさん(奥さんは岩崎さんをこう呼ばれます)に言ったのよ。 100万円以内なら買いましょう。でも、それ以上なら、ガマンしましょう  ね。ところが、一反半の山を一坪2500円でと言われたので95万になり100  万以内に収まることになって喜んで購入を決めたのよ。ところがイーさ  んが、その後に急に、おい、あの人はガンだと言うんだから、坪3500円  で買って上げなさいよ、と言うのよ。そうすると125万になるので予算  オーバーなので困ったけど、結局借金して買いました。」「でもね、  主人は、朝起きると『ちょっと領土の視察に行って来る』と言って山へ  散歩に行って、一回りして帰ってくると、『領土の巡視終わり』と言って  どっかりするのよ。」  「今では、高く買ったことを少しも後悔していません。」とのことでした。  庭の日差しには、その日に山で採取した少量の山菜が籠に入れて干されて  いま した。  …・仙人にはお金よりも大切なものがある。  仙人岩崎、その2  お昼には、岩崎さんが手に缶ビール、ポカリ、コーラを持って来られて、  更に、懐から出るは出るは、みなさんどんどんお飲みなさいと言われて、  結局、お酒にビールにウェスキーで宴会になりました。  「いやあ・・、鍛冶やというのは飲んで仕事をするもんなんですよ。」  そして、おやつの時間には紅茶に砂糖を三ッ入れて飲まれましたが、激し  い労働には砂糖が効果があるとのことでした。  …・、仙人には、仙人の常識がある。  仙人岩崎、その3  鍛冶道場の初日が終わり、5時半からの一次会場に行きました。  我々が着くと、追っかけて岩崎ご夫妻が来られました。  着替えして来ると言っていた女性陣を待っていたら、岩崎さんが突然いな  くなったのです。何処へ行ったのかと思っていましたら、奥さんが曰く  「お酒を持って来るのを忘れたので取りに行ったのよ。」  そうそう、寒梅を一本寄付しますとおっしゃっていたんでしたが、それを  家に取りに行かれたのかも・・・?「タクシーで行ったのよ。ある時ね、気が向く  ままに、タクシーを使われて凄い請求書が来たことがるのよ。」「自分の思うよう  に使うんだから・・・。」  会場からタクシーで往復したら4000円くらいは掛かる距離です。  おっしゃって頂けば、どうせ飲み放題のお店なんですから、持込のお酒をわざわざ  取りに行かなくてもよかったのに・・、と思った次第です。  ・・・・、仙人は黙って約束を守る。  仙人岩崎、その4  十年前から、三条のある工場にインドネシアから研修生を毎年10人ほど取っていま  す。  最初、インドネシア語の解る者がいなかったので言葉が通じず、度々、インドネシ  アにも出かけたことのある岩崎さんが、通訳の代わりをしてあげたそうです。  彼らは国に帰るとエリートとして出世する立場の若者なのですが、工場の人が個人  的に家庭に招くこともなければ、観光に連れていくこともなく、日本語も工場で仕  事の話しかすることもなく、寮には電話もないとのことなのです。(電話があると外  との連絡の他に、インドネシアに掛けられるので電話料金が莫大になって、取り外し  たとのことでした)  それで、岩崎さんがボランティアで彼らのところへ時々訪問して話し相手になって  あげているとのことでした。  その彼らとたまたま、この日にバーで慰労会をする約束だったので、そこに我々が  二次会として同席することになったのです。  さて、一次会の「えびせ」では7品が付いて、しかも飲み放題。二次会会場ではイン  ドネシアの方は1000円で飲み放題、我々は1500円で、しかも、カラオケはやり放題  ・・、これらの料金はすべて岩崎さんの顔で、安くなっていると思っています。  ・・・・、仙人はボランティアをして、その理解者は黙って協力する。  仙人岩崎、その5  22日の3時の休憩の時でした。  岩崎さんと衣川さんが、鍛冶場でごそごそしておられましたが、やがて、衣川さん  が「いやー、先生から貴重な標本をいっぱいもらってしまったよ・・・。」と言い  ながら嬉しくてしょうがないお顔で走って来られました。  聞けば、岩崎さんが古い鎖を伸ばして鉄板にしたものを示されたので、少し切って  サンプルに頂けないかとお願いしたら、よしよしと言ってそれを帯鋸盤で切って下  さったのですが、しばらくしたら、他にも沢山サンプルになるものを切って下った  とのことで・・・、  衣川さんは、思いがけないお話に、ホクホクなさったもののよでした。  衣川さんが鉄の研究をしておられたので、話が合ったんです・・・。  今回の鍛冶道場では衣川さんが一番良かったのではないかと話をしていました。  ・・・・、仙人は研究者に弱い。  仙人岩崎、その6  市川さんが何かごそごそしていましたが、「先生、あれ頂けませんでしょうか?」  と言われたら(何だったか忘れましたが・・・)、岩崎さんはいとも簡単に「ああい  いですよ。」と答えておられました。  いよいよ、最後になってからです。市川さんは小刀の裏研ぎが未完成のままで終わ  ろうとしていました。そこで、裏研ぎに使う小さな砥石(10ミリ角で2〜3センチ)を  二つほど貰いたいと言っていたのですが、岩崎さんが新品の砥石を示して「その封  を開けなさい。そっから1本出してみなさい。」と言うので、市川さんがそのように  していたら、「それを一本上げます。」と言われたのです・・・。  市川さんは思わず「わっー。」と感性を上げておられました。  ・・・、仙人は欲しがると、すぐ上げる。  仙人岩崎、その7  奥さんの話です。  「私が外出して食事の用意が出来ないことが偶にあるんですよ。そうするとイーさ  んは必ず用意をして行かないようにと言うのよ。」「それで、自分であり合わせの  材料で料理を造るんですけど、なんか、変った料理を作るようですよ。それが、ま  た、美味しい時があるんでけど、二度と作れないものなのよね・・・。」  「それから、私が整理が苦手なんですが、冷蔵庫の中なんかキレイに整理してくれ  ましてね。」  ・・・・、仙人は料理が上手くて、整理整頓も上手である。  仙人岩崎、その8  岩崎さんが注文を沢山抱えていることは承知していましたが、みんなで庭で歓談し  ている時のことです。  私がお聞きしました。「岩崎さん、もし、今までの注文分を全て納めるとしたらど れくらいの期間が掛かりますか?}  岩崎さんはしばらく考えてから「刀も3本造ってくれと言われていますし・・・、  そうですね。1年間は掛ると思います。」  刀は、どうしてもとの希望だそうで、短い物ではなく刀(60センチ以上を刀と言い  ます)だそうです。  ええっ。受注が一年分ですか?  ある程度知っていた積りの私でさえ驚きました。  ・・・・、仙人に不景気は関係ない。  奥さんも仙人  21日の晩にインドネシアの方たちと二次会をしていた時のことです。  奥さんはダンスは踊るは、カラオケは歌うは・・・、しかも、それらがみんなお上手  なんです。  「私はね、カラオケを50歳までする積りだったのよ。ところが、50歳になったら、  60歳までやろうと思いましてね・・・。そうしたら、60歳になったら今度は70歳まで  やろうと思っているんですよ。」とおっしゃいます。  「何も、70歳でお止めになる必要はないでしょう。70歳になったら、もっとおやりに  なればいいのではないですか。」と申し上げていたところです。  22日は奥さんがお昼に法事に呼ばれており不在になられたので、その間、家内が、  奥さんの代行をいたしまして、その後、お帰りになってから奥さんとしばらく話をし  ていましたが、後で、つくづく言っていました。  「奥さんは、とってもいい人よ。」  ・・・・、そうなんです。  ・・・・、岩崎さんの奥さんも仙人なんです。  そして、お付き合いした全ての人に暖かく接して、慕われるのです。ご夫妻は、今様  の仙人なのです。 (説明)  ものづくりアイランドは、ものづくりが好きな者が集まったネット上のグループです。  トップページはこちらです。

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